小中の河童

<栃木県佐野市の民話>

小中村(現・小中町)の西を流れる旗川に古河橋という橋がかかっていました。橋の下には赤渕といわれる深いところがあって、そこに年老いた河童が住んでいました。

小中村の人々は、この河童の悪さに悩んでいました。
畑の作物を食い荒らし、川辺で遊ぶ子供たちを川の中に引きずり込み、やりたい放題です。
そこで村人たちは、この河童をこらしめることにしました。

白羽の矢が立ったのは、田舎相撲でならした馬飼いの五郎平です。
村人からわけを聞いた五郎平は、さっそく畑の真ん中に建つ見張り用の番小屋に泊まり込みました。

しばらく何事もなく過ぎましたが、5日目の夜明け前のことです。朝もやの中に怪しい影が現れました。
気配に気づいた五郎平は、そっと番小屋から出て体を伏せて待ちました。

すると、もやの中から河童が現れました。
河童は畑の作物をあさりながら、五郎平のひそむほうへやってきます。

頃合いを見て、五郎平は河童の前に踊り出ました。
驚いた河童でしたが、それでも五郎平につかみかかってきました。

そのとき、五郎平は持っていたカマを力いっぱい振り下ろしました。

「ぎゃあああぁぁ!」

鋭い悲鳴が響き、見れば河童の右手は見事に切り取られ、下に落ちていました。
そして、河童は赤渕へと逃げていきました。

河童の手を拾い上げた五郎平は、それを持ち、見竜上人と呼ばれる人の元へと向かいました。
見竜上人とは、学問に長けて情け深いと有名な僧で、村人たちの相談役でした。

五郎平から話を聞いた上人は、河童の手を預かることにしました。

その夜のことです。上人の枕元でさめざめと泣くものがいます。
上人が目を覚ますと、一匹の河童が泣いていました。

「私は旗川に住む河童です。今朝、瓜畑を荒らしているときに五郎平に右手を切り取られました。どうかその手を返してください」

と、涙ながらに頼んできました。

「しかし、お前は畑を荒らすだけでなく、子供たちを川に引き込むと聞いた。そんなことをするものに手を返すわけにはいかない」

「もう二度とそのようなことは、いたしません。どうか、どうか手を返してください」

必死に頼んでくる河童を上人はあわれに思い、二度と悪さをしないという約束で手を返してやりました。

手を受け取った河童は、何度も何度も頭を下げ、そして闇の中に消えていきました。

それから、小中村では河童の噂を聞かなくなりました。

何年か経った頃、見竜上人が大和の長谷寺へ修行にいくことになりました。
しかし、途中の大和川が氾濫し、渡ることができません。
すると、どこからともなく小中の河童が現れ、上人を背に乗せて向こう岸へと渡してやったといいます。

スポンサーリンク




『小中の河童』へのコメント

  1. 名前:ティコたん 投稿日:2017/06/29(木) 23:25:10 ID:0b3948538 返信

    こんばんは、河童はいる(いた)に違いない!、とおっさんになっても未だに信じてるティコです

    しばらくの間、PC(ブラウザ?)の調子が悪くてりんちゃのブログを拝見出来ないでいました。Fire Foxに変えたら見れたw。入れるサイトと入れないサイトがあって…PC古すぎなようです^^;

    ところで、以前、「マイナー武将列伝とでもいうものを作っていた」と書きましたが、私のはあくまでアナログ、紙に綴ってまとめて一人悦に入ってただけですw。探してみたら確かに「マイナー武将列伝」というサイトがあるようですが、私はタッチしておりません^^;。言葉不足に説明不足、大分経ってからで恐縮ではありますが、お詫び申し上げます。どうか悪しからずm(__)m

    • 名前:一条明里 投稿日:2017/06/30(金) 06:53:57 ID:0835f404c 返信

      >ティコさん

      河童といった妖怪はいるに違いないとおばさんな私も信じてますw

      ブラウザによって見られないことがあるとは知りませんでした。こちらの設定も何か影響があるのかもしれません。ちょっと調べてみます。

      ティコさんのおっしゃってたのはサイトじゃなかったんですね。いえいえ、こちらこそ早とちりで。
      奇遇にも同じ名前のサイトがあったので、てっきりティコさんのサイトだと思い込んでました。
      でもそれはそれで、また興味深いサイトを発見できたので良かったですw